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東大生の「キャリア選択の課題」が明らかに。エンカレッジによる200人アンケート結果

2020年7月27日

このたびエンカレッジ東大支部では、東大生のキャリア選択に関する意識を調査するためオンラインによるアンケート調査を実施しました。今回のアンケート実施の中心を担ったのは、エンカレッジ東大支部(20年3月卒)を務めた高木勇志。支部全体で約700名(21卒学生)の面談を行うなかで、東大生の就職活動における様々な課題を肌で感じ、それをアンケートという形で定量化しようという試みです。そこから見えてきた東大生のキャリア選択にまつわる課題とは?

北海道から沖縄まで全国約70の大学に支部を持ち、21卒学生約5万人、22卒学生8万人(見込み)を会員に抱える日本最大級のキャリア教育支援NPOエンカレッジ。2014年に京都大学で発足して以来、一貫して学生のキャリア観醸成や機会提供に取り組み、「キャリア教育による日本の変革」を目指して活動してきました。

このたびエンカレッジ東大支部では、東大生のキャリア選択に関する意識を調査するためオンラインによるアンケート調査を実施しました。

実施対象:2021年春に卒業予定東大生203名
実施期間:2020年2月中旬~4月初旬

東大生の「就活の課題」を定量化したい

今回のアンケート実施の中心を担ったのは、エンカレッジ東大支部(20年3月卒)に所属していた高木勇志。支部全体で約700名(21卒学生)の面談を行うなかで、東大生の就職活動における様々な課題を肌で感じ、それをアンケートという形で定量化しようと実施しました。
「僕自身は教育学部に所属していますが(当時)、エンカレッジやサークルの活動を通じていろいろな東大生と接する中で、とても優秀な人が多い反面、キャリア選択の軸に関して、もっとwillを持って欲しいと常々感じていました。

具体的にやりたいことがないために、結果的に”まわりの目”を気にしてキャリア選択をしてしまう学生が少なくないのが現状です。学部によって様相が異なるので一概には言えませんが、僕の周囲で言えば、ゼミ生の間でお互いに、インターン先企業のブランドや内定先の年収などによって構成される”就職偏差値”を意識せざるを得ない状況があります。

そのため学部3年生時点でのゼミの選択に、「そのゼミ所属の先輩学生の内定先」が重要な判断材料となり、willなきままさらに就職偏差値が強化されていくという悪循環が存在します。

また法学部に関して言えば、国家公務員や法曹関係、外資系の金融機関などを志望する学生が多いですが、他の選択肢を十分検討しないままに”なんとなく”の選択をしてしまっているケースが多々見受けられます。

2013年の誕生以来、”キャリア教育による日本の変革”を目指して活動してきたエンカレッジとして、東大生のそうしたキャリア選択の現状をまずは正しく認識し、より意味のある就活に繋げていきたい。そのための第一歩として実施したのが今回のアンケートです」

アンケート結果①:就職活動を意識し始めるのは早い

全体の3分の2(約67%)が大学3年、もしくは修士1年前期から就活スタートさせていることがわかりました。これは、東大以外の京大、慶應、早稲田などの上位校と呼ばれる大学の学生と同様の傾向です。

また大学院生に限って見ていくと、修士課程1年生の後期から意識し始める人は、わずか約2%しかいないという結果でした。さらに修士学生の約30%は学部時代に就活を意識していることも明らかになりました。

その理由として、「アンケート結果②」からもわかるように外資系を受ける人が多い傾向にあり、外資系の選考は夏インターンが山場であるため、「学部3年生の前期」から就活をスタートさせる人が最多となったと考えられます。
さらに詳しく「なぜ、その時期に就活を始めるべきと判断したか?」について質問したところ、約6割が「時期的にそろそろ始めるべきだと感じたから」、約3割が「周囲の同学年の学生がやり始めたから」と回答。就活の開始に関して、やや受動的な傾向が見えてきました。

アンケート結果②:「汎用的なビジネススキル」が圧倒的に人気

学部3年生の春時点での志望業界を見ていくと、「コンサルティングファーム」と「金融」で約3割を占めていました。その理由として、支部での面談を通しても見えてくるのは、「ファーストキャリアで、汎用性の高い知識やスキルを身につけることで、将来の可能性を狭めないようにしておきたい」と考える傾向が、東大生に根強くあるという点。

これは、学部2年生から3年生に上がる時に学部を決める「進振り」という制度からも伺える傾向で、「とりあえず東大」で入学し、例えば文系の場合、就活に有利そうという理由から「とりあえず経済学部」を選択し、就活では将来の可能性を狭めないために「とりあえずコンサル・金融」を志望する学生は少なくありません。

そうした「とりあえず」の選択を、人生の節目節目で繰り返してしまう点も、エンカレッジ東大支部では、東大生のキャリア選択における課題の一つと認識しています。

アンケート結果③:「志望企業を決めるきっかけ」が受動的

さらに、その企業を志望したきっかけについて聞いてみたところ、.

「所属しているコミュニティで話を聞いて興味を持った」
「所属しているコミュニティで選考参加や就職している人が多かった」
「エンカレッジのメンターに勧められた」
「就活エージェントの人に勧められた」
「家族や親戚に勧められた/親戚が勤めていて興味を持った」

などが約3割を占めていました。この結果は、エンカレッジ東大支部で年間に行われる約700回の面談を通じて得られる実感とも一致していました。東大生の傾向として、素直で、親や同じゼミに所属する仲間や同学年の友人など、周囲の人からの影響を受けやすいと言えます。

また、コンサルティングファーム、金融、総合総社など、一般的に難関と言われる業種を志望する層は、志望対象について自分で能動的に情報収集をしない傾向が、面談でも見受けられます。
さらに、「東大に来たことが就職活動にどのような影響を与えているか?」という質問に対しては、「東大に来たからには、なるべく友人や親などの評価が高い企業に行きたい」「東大に来たからには、キャリア選択で失敗したくない」が合わせて約35%と、まわりの目を気にしている様子も伺えました。

しかし、一方では「東大に来たからには、社会に貢献できる仕事に就きたい」が約24%、「東大に来たからには、自分が一番納得できるキャリアを歩みたい」が約36%など、内発的な動機をもってキャリア選択に臨もうとしている様子も観察されます。

アンケート結果④:インターンへの参加率は低め

近年、本選考の前の長期・短期インターンへの参加率が、他大学では上がっていますが、東大ではまださほど高くないという結果が出ました。なんとひと月以上の長期インターンに関しては、約7割がまったく経験しておらず、ひと月未満の短期インターンに関しても、「0社」「1社」「2社」「3社」で4割近くを占めていました。この数字は、エンカレッジの他大学の支部と比較しても、低い結果です。
さらに本選考に進んだ企業について見ていくと、「0社」「1社」「2社」「3社」が4割近く、内定を得た企業では「0社」「1社」で7割を超えました。アンケートが21卒学生に対して20年2〜3月に実施したものであるため、内定先が少ないことは当然のことながら、インターン経験数の少なさ、本選考に進んだ企業の少なさから、「(他大学の学生と比較して)東大生は、就活に対して腰が重い傾向にある」と言えます。

この傾向は、エンカレッジによる面談を通しても確実に認識されていて、東大生の間では、本命の企業や業界に特化してプローチし、対策を行うケースがよく見られます

アンケート結果⑤:約4割が「転職を前提に就活を考えていない」

就活において学生の間でも、転職を前提とした「ファーストキャリアの選択」という言葉が定着しつつありますが、東大生に限って見ていくと、「転職前提で就活をしているか?」という質問に対しては、約4割が「いいえ」と回答、「はい」と回答した約3割を上回りました。

さらに就職後のキャリアパスに関しても、「大手で定年まで働き続けるつもり」と回答した人が約24%の上りました。転職が当たり前の今の時代にも、終身雇用を前提として考えている東大生が、少なくないという事実が見えてきました。

アンケート結果⑥:セカンドキャリアとして「起業・独立」を考える東大生も

さらに、転職を前提とした場合、就活で就職したのちのキャリアパスに関しては、「大手から大手への転職」を考えている人が約3割と、かなり明確な「大手志向」が浮き彫りとなりました。

他方、「大手から起業・独立」「ベンチャーから起業・独立」が5割強と、従来の東大生=大手志向というイメージを覆す新しい傾向も見て取れました。

アンケート結果⑦:8割超が「出世したい」

最後に東大生の「出世欲」について質問してみたところ、8割超が「出世したい」と回答。さらに「あなたにとっての出世とは何を指すか?」という質問に対しては、「大きな組織の中で階段を昇っていくこと」が約31%、「収入が高くなっていくこと」が約26%、「社会的意義のあることをして、世間に広く名前が知られること」が約19%という、具体的な「出世」のイメージが把握できました。

「受動的なキャリア選択」から「willのあるキャリア選択」へ

今回のアンケートから確かめられた東大生のキャリア選択に関する傾向としては、

・とりあえず「汎用性の高いビジネススキル」が身につく職種を志望
・「志望企業を决めるきっかけ」がやや受動的
・最初に決めた志望企業に絞って就活
・インターンへの参加率が低め
・大手志向が依然として強め

新卒採用マーケットでニーズがあり、最初に絞り込んで志望した企業からそのままスムーズに内定をもらいがちであるがゆえに、「受動的なキャリア選択」をしてしまう傾向が、今回のアンケートとエンカレッジの日々の面談を通して観察されます。

エンカレッジ東大支部の規模は、21卒で50人、22卒で70人(予定)。21卒対象に年間1400回の面談を実施し、22卒では2200回以上の面談を実施する予定です。就活を終えたばかりの先輩学生がメンターとなって、これから就活を始める後輩学生(エンター)を1on1で伴走するエンカレッジの面談制度を通して、今後も「willのあるキャリア選択」を一つでも増やしていきたいと考えています。

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エンカレッジ

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キャリア教育支援NPO

日本最大級のキャリア教育支援NPO。2014年に京都大学で生まれ、2020年時点で全国72の大学に支部を持ち、5万人の学生会員を抱える。就活を終えた学生(メンター)とこれから就活を始める学生(エンター)の、1on1面談を通じて「本質的なキャリア選択」の実現を目指す。