#もっといい就活

失敗でマッチング 40人の優秀層学生が「ガクシツ」90秒ピッチに挑戦

2020年2月20日

「学生も、企業も、仮面を脱ぎ捨てよう。」もっとお互いの本音をぶつけ合い、本質的な部分で学生と企業のマッチングを図りたい。そんな意図のもと、日本最大級のキャリア教育支援NPOエンカレッジが立ち上げた「#脱就活」プロジェクト。

前編「1500億円のM&Aに失敗!? 企業も失敗をさらけ出す「失敗説明会」」では参加企業7社が、どんなビジョンをもって、どんなプロジェクトに取り組み、何を学んだかの「失敗プレゼン」に挑戦。まずは企業から学生へ、勇気をもって「失敗」をさらけ出すことからスタートしました。

「ガクシツ」を積極的に評価

後編では、「ガクチカ」(大学時代に力を入れた輝かしいエピソード)ならぬ「ガクシツ」(学生時代に失敗したエピソード)を学生たちが披露。持ち時間は1人90秒。話が途中でも90秒で容赦なく「終了」というシステムでしたが、みなさん、短い時間の中に、失敗談を凝縮して詰め込んでくれました。
 
投票フォームを用意し、企業の方々に学生のプレゼンテーションに対して、5段階評価をしていただくという企画も実施。面白かったエピソードには、「オーディエンス賞」として「ディズニーリゾートのチケット」が贈呈されました。また各企業からも「失敗人財賞」として、インターン券やCMOとのランチ券、オフィスツアー券、シークレット1dayイベント招待券などをご提供いただきました。

「2000万円を資金調達、飲食店起業で大失敗」

今回、「失敗説明会」に参加してくれたのは40人の学生たち。さまざまな失敗談が披露されましたが、最初に登壇したMさんから、いきなり濃い内容の失敗談が飛び出しました。
「私のガクシツは『2000万円を資金調達、飲食店起業で大失敗』。世の中のしくみを知りたいと思い取り組んだカフェ起業。クラウドファンディングで2000万円を調達してオープンしましたが、大失敗に終わりました。

コンセプト企画からロゴ作成、店内内装、メニュー開発など、ゼロからの挑戦でしたが、知らないことに出会える感覚がとても楽しかったです。
ところが、オープンした直後に突然お店を閉めることに。カフェ開業チームの中に大人のアドバイザーもいたのですが、その方たちが自分の都合のいいように発注しており、気づいたときには収支が合わず、すぐに運営資金が底をついてしまいました。

だからこそ、オープンしたら繁盛させるという目標を持って一丸となれるチームならよかったのですが、それができずカフェ起業は失敗。このガクシツによって、チームで何かに取り組むときに一番大事なのは、忖度なしの本音でぶつかり合える信頼関係だということを学びました」

「責任感があだとなり、インドで不満大爆発」

Mさんと同じように「人間関係でのガクシツ」を話す学生は多数いました。ガクシツからどのようなことを学んだのでしょうか?
 
例えば、Kさんは「責任感があだとなり、インドで不満大爆発」。
「インドで家を建てるプロジェクトのリーダーとして21人をまとめたときのガクシツ。メンバーに主体性がなくまとまらないことに悩んでいたけど、「頼ってくれない」というチームメイトの言葉に愕然。メンバーに主体性がないのではなく、自分が適材適所での仕事がふれずにメンバーの力を発揮できないことが原因だった。

よいリーダーとはメンバーの力を借りられるリーダー、協力してもらえるリーダー。お互いを知る努力、事務的な内容だけでなく感情を含めた情報を共有することが大事だということを学んだ」とKさんは語りました。
1月12日に開催された「電通若者研究部(電通ワカモン)」とのコラボ企画「失敗説明会」では、学生たちが「ガクチカ」ならぬ「ガクシツ」を披露。「失敗」を通じたマッチングで企業と学生が得たものとは…

「不良グループに入った友人を救えなかった挫折感」

ちょっと変わったガクシツとしては、Uさんの「悪に染まりそうな友人を引き止められずボコボコに」。

「小学生の頃から仲が良かった、なんでもできるイケメンの友人。中学に入ると彼は学校の窓ガラスを割ったり、バイクで校庭を荒らしたり、不良グループの総長に。たくさんの才能があるのに無駄になってしまう。それを防ぎたいと彼を説得したけど、失敗してボコボコにされてしまった。

中学生になってから、なかなか友人と関わりが持てず、結果的にそれまで築いてきた信頼関係も無になっていた。人を説得するには、まずは信頼関係を構築することが大事と気づいた」と笑いの巻き起こる90秒のガクシツでした。

「チームのモチベーションを維持できなかった」

「ホスピタルアート」に挑戦したときのガクシツを披露してくれたのはSさん。  「インターンで『ホスピタルアートプロジェクト』を企画。クラウドファンディングで資金調達に成功したけど、その後、アートプロジェクトをやらせてくれる病院が見つからず、プロジェクトは暗礁に乗り上げました。
病院を探すのに必死で、チームのメンバーや集まってくれた学生アーティストのモチベーションが低下していることに気づけなかった。自分一人のプロジェクトだったものが、クラウドファンディングを経て、みんなのプロジェクトになっていたのに、モチベーションを維持するという大切な部分を忘れてしまった。これからは、アーティストやメンバーが自分たちも一緒にやっていると実感を持てるプロジェクトになるよう、リーダーとして進めていきたい」と語りました。

もはや「ガクシツ」の範疇を超えた、チャレンジングなエピソードでした。

規模の大小じゃない、「ガクシツ」で一番大切なこと

その他にも「学生ベンチャーでスポーツ分析アプリをリリースしたけど、誰にも使われずに撤退したガクシツ」や「過去の夢に縛られ続けたガクシツ」、また「サークルの新歓でのガクシツ」や「学園祭でのおせっかい協賛募集でガクシツ」など学生らしいエピソードもたくさんありましたが、どれも個性豊かでユニークなガクシツばかりでした。
「失敗」は、規模の大小よりも、そこにどれだけの意志や情熱が込められているかが何よりも大事。心身ともに打ち込んだからこそ、悔しさと一緒に自分の中に刻まれた「学び」があります。

成功エピソードは語りやすいけれど、失敗エピソードは語りにくい。そんな風潮に一矢報いたいという思いから開催した「失敗説明会」。企業と学生の新しい出会いの場になったと実感しています。
(構成:塚本佳子)

前編(企業):「1500億円のM&Aに失敗!?企業も挫折をさらけ出す「失敗説明会」」へ
後編(学生):「失敗でマッチング 40人の優秀層学生が「ガクシツ」90秒ピッチに挑戦」へ

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エンカレッジ

日本最大級のキャリア教育支援NPO。2014年に京都大学で生まれ、2020年時点で全国72の大学に支部を持ち、5万人の学生会員を抱える。就活を終えた学生(メンター)とこれから就活を始める学生(エンター)の、1on1面談を通じて「本質的なキャリア選択」の実現を目指す。

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Dentsu Wakamon

電通ワカモン

高校生・大学生を中心に10〜20代の若者の実態にとことん迫り、若者と社会がよりよい関係性を築けるようなヒントを探るプランニング&クリエーティブユニット。若者と社会の間に立ち、双方とフラットに向き合いながら企業のビジネス創造や日本社会の活性化を目指す。

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