#もっといい就活

エンカレッジと電通ワカモンが「就活」をリデザインする理由

2020年2月20日

#脱就活」ムーブメントの第1弾として、エンカレッジが、電通若者研究部(電通ワカモン)と共同で取り組む「失敗人財プロジェクト」。なぜ、今「失敗」をキーワードに就活をリデザインするのか?企業と学生が「ガクチカ」より「ガクシツ」を語り合う、ニュータイプの合説「失敗説明会」はいかにして生まれたのか?その裏側をエンカレッジ総代表の相馬弘明と、電通ワカモンの用丸雅也さんが語る。
京都大学在籍、就活を終えた学部4年生の相馬と、東大法学部卒業後「クリエイティビティやコミュニケーションの力で、世の中に前向きな空気感をつくりたい」と電通に入社した新卒3年目の用丸さん。まっすぐに迷う”ワカモン”ふたりが考える、これからのキャリア教育のあるべき姿とはーー

「失敗」を堂々と話せる就活へ

相馬:ほんの数ヶ月前にお会いして「就活をリデザインしたいね」と意気投合してから、ここまで本当にあっという間でしたね。まさかこんなスピードで物事が実現していくとは、正直ちょっとびっくりしています。

用丸:確かにそうですね。2019年の秋口に就職活動をリデザインするというビジョンで合意形成してから、1月12日の「失敗説明会」開催まで半年足らずでしょうか。やはり、共通の問題意識を持っていたからこそのスピードだったと思います。

僕の所属する「電通若者研究部」も、現在、相馬さんが本部代表を務める日本最大級のキャリア教育支援NPO「エンカレッジ(エンカレ)」も、共に「表面的なことしか話さない就活は薄っぺらいよね」という感覚を持っていました。
 
相馬:はい。最初から「失敗を堂々と話せるような就活」をコンセプトに企画を詰めていこうと。その点は双方ともすぐに合意しましたね。

学生と社会をつなぐパイプが少なすぎる

用丸:就活をリデザインしたいという話になったのは、現状の就活のあり方に疑問を持っていたからですが、そもそも就活以前に、一般的な学生が社会とつながるためのパイプが、アルバイトかインターンシップくらいしかないのが問題だと思っています。
 
相馬:僕も同感です。用丸さんは東京出身ですよね? 僕は三重県出身ですが、地方になると、さらに社会とつながれる機会は減ります。大枠インターンとバイトしかないのは地方も同じですが、東京と比較してその機会はぐんと減ります。エンカレの支部は北海道から沖縄まで全国73もあるので、実感としてとても深刻だと感じていて。例えば、名古屋の学生ともよく話をしますが、大都市である名古屋でも、関西よりもさらに機会が少ないそうです。
 
用丸:もっと学生と社会の関係性に多様性があっていい。就職に特化するならば、若者の「就職の選択肢」を増やしていきたい。学校を卒業する前に正社員として入社したっていいですし、複数社に就職したっていい。企業に勤めなくたっていい。そう考えるきっかけになったのが大学生の頃にインターンをしていたキャリア教育系企業での経験です。
 
人生の半歩先を生きる先輩として、北海道から沖縄まで、全国津々浦々の中高生たちに人生のターニングポイントを提供しようというプロジェクトに携わっていたのですが、数千人を超える中高生と向き合った中で抱いた課題感として、自分の可能性を諦めている中高生が本当に多かった。それが原体験となり、若い人たちと社会のつながりに多様性をつくりたいと考えるようになりました。
 
相馬:諦めがちな中高生って、どんな感じなんですか?
 
用丸:「僕なんかじゃ……」というのが口癖になっていて、それは謙遜というより、チャレンジする前に自分の可能性を否定してしまっているんですよね。僕は高校時代、成績が悪く、卒業できるかどうかもわからない状態から1浪して大学(東大)に入りました。そんな経験もあったので、挑戦する前から可能性を諦めることが本当にもったいないな、と感じて。
 
相馬:たしかに身近な環境だけで世界を決めてしまう若者は、中学、高校、そして大学とステージを問わず多いな、という印象です。僕は他の世代のことはもちろん知らないけれど、自分の世代とその下の世代は、確実に「狭い世界」で将来の選択肢を見てしまっているな、と実感しています。

若者は「最初に新しくなる人たち」

用丸:僕が電通に入社したのは、クリエイティビティを武器にしているこの会社なら、若者、ひいては社会に前向きな空気感をつくれるのではないかと思ったからなんです。自分オリジナルの課題設定を持って世の中に働きかける若い人がもっと増えて欲しい。そんな中で、既存のアプローチ手法に囚われず、「その手があったか!」と唸ってしまうようなアイデアを出せる人に僕自身なりたいと強く思うようになったのがきっかけでした。
 
相馬:実際にワカモンでは「若者と社会の関係性デザイン」に取り組んでらっしゃいますよね。
 
用丸:はい。ワカモンは電通の一部署というのではなく、「若者と社会の新しい関係性をデザインする」というミッションに共感する有志が集まった、バーチャル組織。僕はクリエーティブ局所属のプランナーですが、デジタルマーケティングが得意な社員や、事業開発が得意な社員など、さまざまな武器を持ったメンバーと取り組んでいます。

相馬:年次もバラバラですが、年齢問わずに入れるんですか?
 
用丸:メンバー加入にあたってもちろん適性は審査されますが、門戸は開かれています。世代論で「若者」と区切っているのではなく、新しい価値観を持っている人が若者という定義なので、入社2年目から20年目を超える社員まで、幅広い年齢層のメンバーで活動しています。若者と社会の翻訳者として間に立ち、双方とフラットに向き合いながら企業のビジネス創造や日本社会の活性化までも目指しています。
学生にとっても、企業にとっても、より意味のある”就活”とは何かのか? 電通ワカモンとエンカレッジが考える、これからの時代におけるファーストキャリアのあり方とは…

日本最大級のキャリア教育支援団体として

用丸:エンカレは学生が主体となって活動しているんですよね?
 
相馬:はい。就職活動が終了した大学4年生が中心になって運営しているNPO団体です。実は、先ほど申し上げたように全国73の大学に支部があり、21年卒の学生では約4万人が所属する日本最大級のキャリア支援団体に成長しています。
 
その今年の代表を僕が務めているのですが、エンカレッジは設立当初から「日本の産業競争力を高める」ことを一つの目標として掲げて活動しています。そのためには一人一人が生産性の高い人間にならなければいけないので、キャリア選択の幅を広げ、さらにその後の活躍の質も上げていく、というのがミッションになります。

先ほど中高生の例が出たましたが、大学生ですら自分の知っている狭い視野の中でキャリアを選ぼうとしているのが実情です。そういう人たちに対して、そもそもこれからどうしていきたいのか、自分自身を見つめ直す機会を提供できればと思っています。

東大でも情報量が少なく試行錯誤の就活

用丸:就活に限らず、普段の環境から一回離れて世の中を見ることで、選択肢が広がったりすることってありますよね。しかし、学生たちの日常には、その「離れて見る機会」がほとんどない。
 
相馬:そうなんですよ。だからエンカレの活動では、先輩学生(メンター)が後輩学生(エンター)に「こういう機会もあるよ」「こういう企業もあるよ」と、新鮮な情報ときめの細かい面談によって最適なマッチングをはかろうとしています。全メンターが行う面談は年間で3万回を超えるほどですが、そこまで徹底したマッチングをやる過程で、最初は世の中に対しても自分のキャリア選択に対しても、認識の解像度が極めて低かった学生が、次第に前向きになり、積極的に自身の生き方を模索し始めます
 
用丸:僕が大学を卒業してから数年経つけど、東大にもエンカレッジの支部がありました。たぶん、当時は今ほど大きくなかったと思いますが、4年生のメンターが3年生などの就活生にメンタリングをしてあげるという構造がすでにできあがっていました。
 
相馬:ここ数年でだいぶ人数は増えました。現在、全国に1500人のメンターがいますが、高い意識を持って動いてくれています。来年は2600人までメンターを増やす予定です。僕らの熱い思いがどんどん太くなって、下につながっていったらいいなと思っています。
 
用丸:先輩が、就活のかなり早い段階で「キャリアデザイン」という考え方を教えてくれる環境は、非常に恵まれていますよね。僕が就活をしていた4、5年前は、とにかく情報が少なくて、就活はブラックボックス。取捨選択の判断基準もなかったので、目に入った説明会には全部参加しなきゃと大変な思いをした記憶があります。だからこそ、「失敗人財プロジェクト」はじめ、今後は企業も学生もフラットにオープンな就職活動をつくっていきたいですよね。

Profile

Soma Hiroaki

相馬弘明

京都大学4年生(2020年2月時点)。2020年度のエンカレッジ代表。

Masaya Yomaru

用丸雅也

東京大学法学部卒業後、「クリエイティビティやコミュニケーションの力で、世の中に前向きな空気感をつくりたい」と電通に入社。第2クリエーティブプランニング局所属。電通若者研究部(電通ワカモン)としても活動中。