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設立から7年、日本最大級のキャリア教育支援NPOが生まれるまで

2020年2月26日

2014年に、京都大学の学生たちが「キャリア教育による日本の変革」を掲げて立ち上げたキャリア教育支援NPOエンカレッジ。設立から7年で全国47都道府県、72大学に支部を持ち、4万3000人の学生会員が所属する日本最大級のキャリア教育支援NPOへと成長した。

旧帝大、その他の地方国立大、早慶、MARCHなど上位校において40%のシェアを占め、日本の未来を支える人材の育成に日々力を注いでいる。今や東大、京大、早慶、旧帝大などの上位校において、2人に1人が会員になっているエンカレッジは、どのように生まれて、発展・成長し、これから何を目指してさらなる進化を遂げていくのか。

その誕生から7年にわたるエンカレッジの軌跡を追いました。

ひとりの京大生が抱いた憤りから

エンカレッジは、京都で産声をあげた。創設者は、当時京都大学の大学院生として有機ELディスプレイの開発・研修に没頭していた出谷昌裕。自身が就職活動をする中で、国費で運営される国立大学においてさえ、本質的なキャリア教育がなされていない状況に危機感を抱いたのが、すべての始まりだった。

「就職活動中にまわりの学生と雑談をしていると、自分はどう生きるのか、どんなキャリアを選び、何のために生きるのかという話自体ができなかった。京都大学という日本有数の大学に所属している学生であっても、自分がどんな人間か、世界にはどんな生き方があるのかを知らず、それについて話す機会さえないまま、就職活動に突入していく。

おのずと企業を選ぶ基準は、ネームバリューや生涯年収、異性にモテるのかといった偏差値思考になる。国が投資する国立大学の学生が本当にこれでいいのだろうか」

と、出谷は憤りを覚える。このままでは、個人が本当に必要なキャリアを実現できるはずがない。産業構造が激変する中で、これは学生にとっても、国にとっても相当まずい事態だろう。そのために自分にできることは何か?

大学近くの居酒屋で、同世代の友達たちと議論を重ねた末、出谷たちは「自分たちでキャリア教育をやろう」と決め、NPO法人「エンカレッジ」を立ち上げる。

SNSは禁止、「対面での面談」を徹底する

設立当初は、中心メンバーはたったの5人。シェアハウスで共同生活を送りながら、日本のキャリア教育がどうあるべきか朝まで議論を戦わせる日々が続いた。こうした濃密な議論を通じて、活動に賛同する仲間も徐々に増えると同時に、「日本の成長に繋げる。そのために必要なキャリア教育の仕組みを日本につくる」という、エンカレッジが社会に対して提供していきたい価値も固まっていった。それは、設立から7年が経過した現在も変わらぬエンカレッジのコアバリューだ。

京都大学からスタートしたエンカレッジは、大阪大学、立命館大学、同志社大学、名古屋大学、九州大学へと徐々にその規模を拡大した。いずれも、メンバーが自らレンタカーで遠征して、ビラを巻きながら直接学生を勧誘するという地道な活動を積み重ねた結果だった。

「設立まもないエンカレッジが徹底していたのは、ウェブではなくリアルな場でユーザーを募ること。学生たちひとりひとりに会い、自分たちの想いを説いて、ひとりずつ会員を増やしていきました。

あえて泥臭い作戦を選んだのは、本物の「支援」を貫きたかったから。顔を合わせて時間と空間を共有しなければ、学生の意識と行動を変えられるわけがない」

そうした理念のもと、設立初年度はSNSを禁止するほど、「対面でのキャリア教育支援」を徹していた。初期メンバーの活動により、エンカレッジは関西・中部地方を中心に拡大し、 1年で6大学に支部設立、会員数600人の体制を築いた。

厳しい採用基準を通過したメンターの存在

2020年時点で、エンカレッジは大学支部72拠点、運営メンバー1300人まで拡大。21年卒の学生ではメンター600人、エンター4万3000人を数える、日本最大級のキャリア教育支援NPOに成長した。京都のシェアハウスで産声をあげてから7年、当時から現在まで変わらず受け継がれてきたエンカレッジの「価値」とは何なのか。

「やはり面談が、エンカレッジの活動における非常に重要な要素です。就活を経験した先輩内定者(メンター)と、これから就活をする後輩学生(エンター)が、継続的に一対一で話し合い、自分のキャリアをどう築いていけば今後の社会人生活がより幸せなものになっていくか、またそのキャリアを掴み取るためにどういう努力をしていけばいいのかを考えます」

そう語るのは、19年度に東京工業大学を卒業した支部長(当時)の佐々木樂。就活がスタートしてからゴールするまで、エンカレッジでは、その学生の志望業界や志望企業、適性やパーソナリティに合わせて、優秀なメンターをマッチング。定期的に面談を行うことで、就活を通じて自分の可能性と向き合えるよう伴走する仕組みができあがっている。

エンカレッジのメンターは、全員が厳しい採用基準をクリアしている。一人のメンターが面談を担当する学生は20〜50人。業界知識や各社の採用対策、イベント情報はもちろんのこと、本人さえ自覚できていない自身の適性や指向性まで丁寧に深掘りしていく。

学生自身が、キャリアを通して何がしたいのか、何のために自分の可能性を投じていきたいのか、そして最終的にどのような人生を歩んでいきたいのか。7年前、設立者・出谷が就活を通じてぶつかった問いに、学生ひとりひとりが自分なりの答えを導き出し、「自走」できる状態まで伴走していくこと。

それが、エンカレッジが年間のべ3万回実施している面談の最終ゴールだ。

「行動→内省」を一気通貫でやることの価値

今の時代の就活生にとって、キャリア選択のための「情報」「機会」「体験」は溢れるほどたくさんある。そうした状況の中で本当に必要なのは、「賢く選択すること」に尽きるとエンカレッジは考えている。

自分が何を求めているのか。今の自分に必要なものは何なのか。それを客観的に把握すると同時に、「行動」をともなって学び続けること。エンカレッジの面談は、行動を促しながら、その結果を内省して、さらに次の行動へと繋げていくプロセスを一気通貫でやるところに最大の価値だ。

「あくまでエンカレッジはNPO法人であり、企業との直接の利害関係がないからこそ、ユーザーである学生にとって本当にいいと思うことを、メンターが追求できる。それが他の新卒支援サービスとは一線を画す私たちの特徴だと思います」
と、エンカレッジ東大支部でメディアを担当する張昱も語る。月間PV100万PVを超える「エンカレッジ・ドットコム」を通じてキャリア選択に必要な情報をオンラインで提供しながら、年間約500回(2020年2月時点)のイベントを全国で開催することにより、リアルでの接点と行動の促進にも力を入れている。オンラインとリアル、全国47都道府県1.7万人の学生と提携企業400社。

その訴求力を生かして企業の採用活動のあり方そのものにも働きかけ、次の時代の「キャリア教育」の形を体現する存在になることが、設立7目以降のエンカレッジが挑む新たな目標だ。
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エンカレッジ

日本最大級のキャリア教育支援NPO。2014年に京都大学で生まれ、2020年時点で全国72の大学に支部を持ち、5万人の学生会員を抱える。就活を終えた学生(メンター)とこれから就活を始める学生(エンター)の、1on1面談を通じて「本質的なキャリア選択」の実現を目指す。

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